さて、個人的に関心薄めに加えて関わりも薄めになってきている DWG 系 CAD 界隈ですが、去年も書いたので、今年も 2019 年はこうなるかなっていう予測をしておこうかと思います。
去年を振り返ると、ブログで扱うCADでの話の大きな出来事としては、
- AutoCAD の ソリューションがツールセットとして提供され、諸々の垣根が下がる。
- BricsCAD の bricsys が大手資本に買収される。
- ODA が Tiegha ブランド名を捨て改名。
- IntelliCAD が20年生き残ってるという事実。
- 互換CAD 各社の 2018形式対応は概ね問題なく済んだ。
AutoCAD はまだバージョン名称から年表記が取れてなくて(そのうち取れると勝手に思ってます。)、2020 かあるいはそれに相当するアップデートは例年通りに 3月に出るでしょう。
CAD の作図・編集などの機能面はそれほど大きく変わらないと思いますが、引き続き CAD 利用の環境周りは変化がある形じゃないかと予想しています。
流石に Win10 環境を32bitで使うとかアホの子なの?っていう感じなので、そろそろ 32bit 環境は殺しにかかるんじゃないかなと思われますので、古いバージョンで頑張っちゃってる人たちが、にっちもさっちもいかなくなる状況が増えてきて更新に迫られるようになってくると思います。
2018 形式のDWGフォーマット対応は、ODA の対応が出来ているので、多くの互換 CAD で問題なく使えるようになっているのは、去年の予想通りですね。
ケアレスミス的なしょうもないトラブルはありましたが、中身の構造的な変化は小さかったようなので、まぁ安定してる感じですね。
で、今年はどうなるか
2019年の製品で DWG形式フォーマット変更はまだないと思いますが、フォーマットの変更があるとすれば、DWGはそのままに、オンライン系のデータ強化をする方向で拡張されるんじゃないかなと予測します。
2018年末時点のバージョンで、いわゆる日本で発売されている互換 CAD の互換性の度合いを表すと、超ざっくりで以下のようになるかと思います。(個人の見解です。)
2D機能の互換性
AutoCAD > IJCAD ≒ BricsCAD >> IntelliCAD 系 > AresCAD 系
(去年とおおむね変わらず。)
3D機能の互換性
AutoCAD >> BricsCAD >> IntelliCAD 系 ≒ IJCAD ≒ AresCAD 系
操作の互換性
AutoCAD > IJCAD >> IntelliCAD 系 > BricsCAD > AresCAD 系
(こちらも去年とおおむね変わらず。)
UI・UX の互換性
AutoCAD ≒ IJCAD >> IntelliCAD 系 >> BricsCAD > AresCAD 系
- IJCAD と IntelliCAD は極力 AutoCAD に似せていくスタンス。
- BricsCADは引き続き独自のUI/UXを模索して実装していくスタンスで、AutoCAD との互換性という面ではやはり開きが出てきています。
- AresCAD 系は独自だけど、AutoCAD に若干寄せた感じ。
開発互換性
AutoCAD > BricsCAD ≒ IJCAD >> IntelliCAD 系 > AresCAD 系
(こちらも去年とおおむね変わらず。)
と、去年を踏襲した項目に+αしてみました。AutoCAD で3D設計とか仕事で使う人は少ないほうかと思いますが、一応地味に拡張されてはいますし、気になる人もいるかもしれないので3D機能の互換性を追加してみました。
今年も製品ごとの差が縮まる事はあるもののこの順序が大きく変わることはないだろうと考えています。もしかしたら BricsCAD 買収の影響がめっちゃいい形で表れて良さげになったりするということもあったりするかもしれませんが、買収されてからまだ日も浅いので様子見です。
ちなみに、個人的な興味の点で、LISP 言語の性能という点で見ると、
BricsCAD >> AutoCAD > IJCAD >> IntelliCAD 系 > AresCAD 系
という感じになるんじゃないかと思います。BricsCAD の LISP まじで早くて最近の LISP 処理系っぽいパフォーマンスでますし、OS 超えた利用も考慮してるので自由度高いです。
デバックも VisualLisp 環境と同レベルな感じで出来ますしね。
データの互換性については、素の DWG の部分は、基本は ODA の改良次第で、細かにでる問題を潰せるかどうかは、各社の力量によるでしょう。
それ以外の部分、AutoCAD Architectural や Mechanical、Civil3D などのソリューション毎のカスタムオブジェクト系のデータが去年と同様にODAのでの対応が若干進むと考えられるので、ロックインされて他に行けない人たちが片道移行できる選択肢が出てくる可能性は去年よりもほんの少し高くなるかと思います。(相互交換しながらの移行は、まず無理というか超ドMな人以外はやめたほうが良いです。)
日本では人気が出なかった AutoCAD Architectural は結構前から ODA でサポートが始まってるので、読める互換 CAD も多いのですが、日本でも人気のある Mechanical に関しては、データ互換を考慮した乗り換え先としては現状 IJCAD Mechanical 一択しか選択肢がないです。
ソリューション系 AutoCAD のデータを移行するのは、ソリューションと切り離した形での移行を検討するのが一番無難です。
経済的な面では、各社製品内のグレード等の組み合わせにもよりますが、
AutoCAD > BricsCAD > AutoCAD LT > IJCAD > AresCAD ≒ IntelliCAD系
という感じでランニングコストがかかる感じになるかと思います。
BricsCAD が、新規購入もバージョンアップも年々値上がりが止まらない感じなので、あれ、ACLTより高くね?っていう事が多くなっていてこの先もこの傾向続くのかしら?的な点で気掛かりがあります。
ということで、ざっくりとした導入・更新や乗り換えのポジションは
- CAD や PC にかける運用資金が潤沢に取れるなら AutoCAD。
- CAD や PC にかける運用資金を AutoCAD を運用するより減らしたいけど、使い物にならなきゃ意味がないという場合は IJCAD か BricsCAD 。
- 超絶貧乏なブラック企業&CADは印刷+α 位でしか使わないというところは AresCAD系。
- まだ見ぬフロンティアに夢を見たい人は、nanoCAD や IntelliCAD。
といった流れじゃないかなと思います。
そんな感じで、引く続き更新はそぞろかと思いますが、本年もよろしくお願いします。
元ネタ記事: なし