オートデスク の日本法人が 2021 年 5 月 7 日(日本時間)、業種別ツールセットを含まないAutoCAD の販売を AutoCAD LT と同一価格で開始しました。
これに合わせて、AutoCAD LTと AutoCAD LT with CALS Tools の販売が終了したとのことです。
CALS Tools は R版だと以前からアドオンとして提供されているので、機能的には変わらない形で使えることになります。
これまでの業種別ツールセット(Mechanical とか Architecture とか)が付いてる AutoCAD including specialized toolsets は "AutoCAD Plus" という名称に変わってこちらは価格は変わらずに販売されるようです。互換CAD の名称に寄せてきた感がありますね。
ちなみに、今回の販売形態は日本のみの特殊対応で、海外では AutoCAD LT 変わらずに販売されています。海外だと日本円換算で 大体 5万円前後なので結構安かったりしますが、日本国内で使う用途では買えないので、どうしても使いたかったらシンガポールにでも高跳びして海外で AutoCAD LT を買って使うしかありません。
税金安いらしいですし、CAD の作図なんてネットが繋がってればどこでやってもいいので、海外ワーケーションとか移住とかするのも良いかもしれないなとか思ったりしなくもないです。
ともあれ、日本市場においては、互換CAD に万単位で移行が進んでいる状況に対する戦略的対応だろうと思わます。
ということで、改めて、国内の互換CAD との価格と機能の差についてざっくりとまとめとこうと思います。まず価格についてはオフィシャルストアの定価・税込(2021年5月8日時点)だと以下のようになります。
赤字の価格で示しましたが、互換CAD の PRO が素の AutoCAD 相当であると考えると、3バージョン分で考えると同価格帯になります。互換 CAD はいわゆる「永久ライセンスあり」があるので、サブスを切っても使い続けられる点は異なります。(BricsCAD は永久ライセンス版だと少し高くなりますけど)
4、5年毎に書い直しとかいうサイクルだと1年価格と比較すればいいので、かなり差が出ることになります。
青字の価格で示した業種向け機能込みの製品だと、AutoCAD Plus との比較になりますので、互換CAD にかなりの価格メリットがある点は代わりありません。
たとえば、機械設計の Mechanical については IJCAD だと約半額になりますし、BricsCAD だと3割強安い形です。
建築や土木などについては、IJCAD だと約1/3になりますし、BricsCAD だと同じく3割強安くて(今のところ簡易的といえますが) 3D系の業種向け機能が使えるっていう形になります。
次にざっくりした機能対応については次のような感じです。
業種別で互換 CAD で独自に構築されている機能については表にするとボリュームめちゃくちゃ多くなるので載せませんが、機能面では結構ばらつきがあるのがわかるかと思います。
以上のような感じになりますが、AutoCAD LT ユーザな人でちまちまメニューマクロ組んだものを使わざるを得なくて開発言語を使ったカスタマイズがしたかった(使いたかった)っていう人や AutoCAD ユーザでツールセットとか邪魔くさくて要らんけど 互換CAD に移るのはなんとなく面倒、っていう人にとってはある意味朗報かと思います。
使い方別に安い構成で考えると
- 2D 図面で基本機能が使えればいい → 互換CAD LT(Lite)
- 2D 図面主体だけど 3Dモデルも若干扱いたい → AutoCAD、互換CAD の PRO
- 2D 図面でアドオンとか拡張系機能を使って作図したい → AutoCAD、互換CAD の STD
- 2D 図面主体だけど業種向けの機能も使いたい → AutoCAD Plus、互換CAD の ソリューション向け製品
- 3D 図面主体だけど2Dも使う(Inventor, Revit と連携なし)→ 互換CAD の PRO
- 3D 図面主体だけど2Dも使う(Inventor, Revit と連携あり)→ AutoCAD
という感じでチョイスして検討するといいのではないかと思います。
これを機に、AutoCAD LT から乗り換えを考えたいという方は、 アドオンの GizmoTools が使えるようになるので、この機会にあわせて導入してみてはどうでしょうか。
BricsCAD と IJCAD でも使えるので、もし先々に移行したとしても無駄になりませんよ!っていう宣伝でまとめを終わりにします。
では。
元ネタ記事:Autodesk