結構時間が経っちゃいましたが、IntelliCAD テクノロジー コンソーシアム(ITC)が 2020年7月30日に IntelliCAD 10.0 のリリースを発表してました。
とりあえず更新概要の動画が youtube にあがってるので、文章読むのめんどい人は見てみたら良いと思います。(英語だけどなんとなくわかるでしょう。)
で、10.0 の大きな改善点は以下のようになっているようです。
- OpenGL ES グラフィックスのデバイスをサポート。← Android とか Linux 上で動く IntelliCAD で効果が大きいと思われる。
- ビジュアルスタイルが新しくなった。
- マテリアルライブラリが図形とレイヤーに割り当てられるようになり、ビジュアルスタイル表示でも表示可能に。
- スポットライトとポイントライトは、ビジュアルスタイルで表示可能に。
- ビューマネージャーが再設計され、ビューの背景、遠近法、レンズ長などを動的に選択可能に。 ≒ AutoCAD とおおむね同等機能になった。
- ダイナミック入力にコマンドプロンプトと(距離とか角度の)計測ガイドを組み込み。≒ AutoCAD とおおむね同等機能になった。
- 印刷のページサイズ対応強化 .pmpファイルによる余白指定とかが可能になった。≒ AutoCAD とおおむね同等機能になった
- .obj と.stl 形式のインポートに対応。
- プロパティ表示が強化されてカスタムエンティティのプロパティを表示可能に。
- 以前のバージョンからユーザーインターフェイスのカスタマイズを移行する機能に対応。
- grdraw が2倍早く
- 画層一覧の表示が8倍早く
- ビューポートのフリーズON/OFF処理が15倍早く
- 選択プレビューがめっちゃ早く
- プロックエクスプローラのビットマップ生成が早く
- 一部のポリラインオフセットが遅かったのが早く
- 大きな図面での オブジェクトスナップが早く
細々とした小さな機能改善は以下のようになっているようです。
- レイヤーフィルターを並べ替える機能。
- マルチテキストで貼り付け方法の選択と書式をクリアが可能に。≒ AutoCAD とおおむね同等機能になった
- 循環選択が可能に。 ≒ AutoCAD とおおむね同等機能になった
- クリーン画面表示時の表示項目を決められるように。
- スタートページから新しいビデオとオンラインリソースを使用可能に。
- 閉じた図形をソリッドに変換可能に。← いわゆる 2Dソリッド(リージョン)化。
- パブリッシュするシート毎に画層状態を指定可能に。
- 再設計されたステータスバー。
- セクション508 のユーザビリティ強化。 ← 障害者にも優しく
- 4Kディスプレイサポートの向上。
- ハンガリー語の最初の翻訳。
BIM オプション部分の強化は以下の通り
- 屋根や梁の動的作成
- 梁の留め継ぎジョイントを作成
- アタッチされたBIMアンダーレイをポリメッシュとポリラインに分解して、アンダーレイ機能を維持しながら編集し、断面線と立面線の新しいオプションを使用可能に。
BIM 系は、ODA の SDK 強化に伴って付随的に強化されちゃった内容だと思われます。
テクニカルな面で、IntelliCAD 10 は ODA の SDK バージョン2020 Update 2 ベースとなり、API の .NET と IRX の内容が強化されているようです。
あと、このバージョンから 32bit のサポートが無くなり、64bit 版のみに。
といった感じで、IntelliCAD ベースでなくなった IJCAD が追い抜かれてる部分もあるし、順調な感じで開発が進んでいるようで、6,7年前と比べて機能面では十分な状態になってきているので、機能不足によりデータ互換面で問題になる部分がかなり解消されてきているような気がしますね。
パフォーマンス面は 他の互換CAD と比べるとまだ遅い部分は結構ありますが、AutoCADがソフト的にかなり重たくなってきちゃってるので、低スペック PC では IntelliCAD の方が軽快に動きそうです。
元ネタ記事:ITC