2022年、あけましておめでとうございます。
さて、例年に習って今年も 2022 年の AutoCAD(DWG)互換 CAD はこうなるかもっていう予測と去年の振り返りをしておきます。
まず、去年の大きな事柄としては、
- AutoCAD LT の販売が終了して、AutoCAD のツールセットなしシンプル R版が LT価格で登場。(日本だけ)
- ツールセット付き製品が AutoCAD Plus として販売開始された。(日本だけ)
- AutoCAD でチケット消化系ライセンス(Flex)が一般向けにも登場。
- IJCAD が 初年度サブス必須になった。(ネットワーク版は前からサブス継続が必須)
- 表オブジェクト&データリンクが大体の互換CADで(一応)扱えるようになった。
- 点群とサーフェスが大体の互換CADで(一応)扱えるようになった。
- 大体 Windows11 対応できてる。
という感じですが、AutoCAD R版の実質値下げや Flex ライセンスの提供開始が印象的な内容としてあげられるかと思います。R版の実質値下げは日本のみの施策ですが、日本市場だとここ数年、数万ライセンス/年の規模で互換CADへの移行が進んでいて拡大傾向が続いているので、それに対してひねり出したカウンターかと思います。
これにより、ちょっと高いけど AutoCAD のままのほうが楽じゃね?っていうところが思いとどまるのに一定の効果があるかと思います。
そして、昨年に引き続き互換性についての目安になる比較を出しておきます。
2021年末時点のバージョンで、日本で発売されている互換 CAD の互換性の度合いを表すと、以下のようになるかと思います。(個人の見解です。)
項目としては去年を踏襲しますが、今年は AutoCAD 2022 を☆10とした形で評価しています。
というところでしょうか。
AutoCAD も毎年地味に強化されているので、AutoCADとの互換性という点では差が埋まることは中々ありませんが、新しい機能使ってない人から見ると、差は縮まってると思います。CAD を操作する人の心理的・時間的な移行コストが低いのは IJCAD になる点は変わりありません。
項目としては去年を踏襲しますが、今年は AutoCAD 2022 を☆10とした形で評価しています。
- IntelliCAD系に含まれるもの:CMS IntelliCAD、ProgeCAD、ZWCAD
- AresCAD系に含まれるもの:AresCAD、Draftsight、CorelCAD
というところでしょうか。
AutoCAD も毎年地味に強化されているので、AutoCADとの互換性という点では差が埋まることは中々ありませんが、新しい機能使ってない人から見ると、差は縮まってると思います。CAD を操作する人の心理的・時間的な移行コストが低いのは IJCAD になる点は変わりありません。
評価視点を「その CAD で出来る事&パフォーマンス」という点に変えるとまた評価は違ってくると思いますが、そこは各CADベンダーがアピるところでしょうから割愛します。
で、今年は?
- 新しい DWG形式は出るのか?
= おそらく出ない。出ても中身的には大差ない形になると思われます。
2013 形式と 2018 形式も大差ないですし。 - AutoCAD の思い切った価格戦略によって互換CAD が死ぬか?
= DWGファイルのデータ互換・機能互換が順当に進んできていておおむね問題ないレベルにある点と、AutoCAD 比での価格メリットは小さくはなるものの実運用のランニングコスト的にはまだ数倍(数万円@License)レベルの差がある状態なので、現状の2倍位の規模までは autodesk が FUD かましたところで粛々と移行が進むと思います。
何がどう転んでもレガシー市場として生きられる規模にはなっているので、一部のベンダーはなんの先進性もないけど少額のお布施で環境追従とサポートが維持はされてるっていう感じになっていくと思われます。 - Architectural や Civil 3D、Mechanical などソリューションの移行先は出てくるか?
= AutoCAD ベースとはいえニッチ市場なので、現状のものから新しいものはまず出てこないと思われます。ODA のライブラリ側で各製品特有のカスタムオブジェクトのサポートが進んで来てはいますので、対応互換 CAD の品質アップは期待できますが、相互互換というよりは ACADソリューション製品からの一方通行なデータ取り込みでレガシーデータを活用はできるという状況がせいぜいという感じになると思われます。
(汎用と違って相互互換するメリットもあまりないですしね。)
また、全てのソリューション系カスタムオブジェクトをサポートできるようにはならないでしょうから乗り換えでのデータ流用が少しずつ楽になってくという程度で考えるといいかと思います。 - 互換CADもサブス化してく?
すでに買い切りのライセンスがサブオプション化してきていますが、CAD だけでなくソフトウェアが全般的に、サブス化(サービス化)していくの不可避な方向なので、今後の商用ソフトのコスト的な話はサブスの料金差の比較になっていくと思います。既に最初からサブスなしで買えるのは BricsCAD だけ。
サブス化しない=「死」を意味するので、どこも買い切りライセンスをいつやめようかタイミングを見てる状態でしょうから、買い切りのライセンス買うつもりなら早いほうがいいと思います。
各社、製品内のグレード等の組み合わせにもよりますが、5年位のスパンでのランニングコストを比較するとざっくり以下のような感じになるかと思います。
高い
↑ AutoCAD Plus
| AutoCAD, BricsCAD のソリューション系, IJCAD のソリューション系
↑ AutoCAD Plus
| AutoCAD, BricsCAD のソリューション系, IJCAD のソリューション系
| BricsCAD PRO, IJCAD PRO, IntelliCAD系上位グレード
| Ares Commander, IJCAD STD
↓ Bricscad Lite, IJCAD LT, AresCAD, IntelliCAD系下位グレード
安い
ということで導入・更新や乗り換えのポジションは去年とちょっと変わります。
- 2D CAD に運用資金が潤沢に取れる → AutoCAD Plus。
- CAD はほぼ 2D で実用性がありつつ費用は抑えたい
- AutoCADとデータ交換あり前提 → IJCAD、IntelliCAD。
- AutoCADとデータ交換なしでOK → BricsCAD。
- CAD はほぼ 2D でアドオンを使いたい場合は、BricsCAD, IJCAD。
- CAD はほぼ 2D で扱うデータが軽くとにかく費用は抑えたい → IntelliCAD 。
- CAD で 2D、3D 両方やりたいけど費用は抑えたい場合は、BricsCAD, AutoCAD。
- Revit や、Inventor と連携したい → AutoCAD Plus。
- Autodesk系ではない 3D CAD と連携したい → AutoCAD, BriscCAD。
- マゾっ気たっぷりで玄人志向な(苦労と試行錯誤を続けたい)方は Ares、nano CAD、FreeCAD。
コロナ禍はとりあえずの終息というか弱毒になって一般的な病気化への道筋が見えて来ているように思いますが、ブレイクスルー感染もありますし、これからは温暖化の影響などもあって10年サイクルで同じようなパンデミックが起こるという予測もあるので未来の医学やサステナブルな社会の構築に期待したいところです。
さて、私の個人的なところで某 CAD 会社の仕事を終了して、CAD開発系の仕事からは根本的に離れてしまうので、このまとめ記事も今年が最後になるかもしれません。
拙作の AutoCAD, BricsCAD, IJCAD 対応アドオン GizmoTools はゆるっとメンテナンス継続する予定です。
また、互換CAD系の相談事(うちの場合どれが良いのよとか、カスタマイズ移植できる?とか)があればコンサルティングできるかもしれません。
また、互換CAD系の相談事(うちの場合どれが良いのよとか、カスタマイズ移植できる?とか)があればコンサルティングできるかもしれません。
本年もよろしくお願いします。
元ネタ記事:なし