2023年の DWG 互換 CAD 界隈

2023年、あけましておめでとうございます。


はい、昨年の記事で「CAD開発系の仕事からは根本的に離れてしまうので、このまとめ記事も今年が最後になるかもしれません。」とか書いて別業界に行く気満々だったのですが、なぜか 某CAD ベンダーに入ってしまったので、今年も書いとこうと思います。🤤

 例年に習って今年も去年の振り返りと 2023 年の AutoCAD(DWG)互換 CAD はこうなるかもっていう予測をしておきます。

まず、去年の振り返りとしては、

  • AutoCAD 2011~2014 のライセンスの認証が6月で完全に終了した。
  • AutoCAD は3D表示が大きめのパフォーマンスアップ。(但し高性能PC環境に限る。)
  • AutoCAD Web アプリで LISP が(一部)使えるようになった。
  • BricsCAD に ExpressTools が標準搭載された。(Liteでも!)
  • BricsCAD Mechanical の2D機械機能が AutoCAD Mechanical っぽくなった。
  • BricsCAD で AutoCAD の Mechanical, Civil 3D 等々ソリューション系データ対応が結構進んだ。
  • Bricsys の日本ブランチが出来た。
  • IJCAD のライセンス再発行が実質有償化され実質サブス化された。
  • InteliCAD がかなり大きめのパフォーマンスアップ。
    (競合比でみるといままでかなり遅かったのが少し遅いレベルになった)
  • 為替が円安になった事もあり、各社実質値上げの兆候が高まってる。

という感じです。

 コロナ禍が一段落してきたからそろそろ活発に動けるんじゃね?って思ってたら、プーチンが戦争がはじめたでござる。ということでその余波で人と物のエネルギー源調達に結構な混乱が生じた結果、経済が冷えちゃってるとか世の中なかなかうまくいかないですね。

 で、例年やっていた比較ですが、日本における主なAutoCAD 代替ソフトといえるBricsCAD、IJCAD ともに汎用的なデータはもう問題にならないレベルにあるので、比較を「互換性」ではなく「できる事」と「パフォーマンス」に焦点を当ててやってみようと思います。(例によって個人の見解です。)

というところでしょうか。

細かい比較表作ったら多分鈍器になるレベルなのでこれ位でいいでしょう。🤤


で、今年は?

  • 新しい DWG形式は出るのか?
    = おそらく出ない。デスクさんは大体のユーザをサブスに移行させる流れが終わったので、技術的な改善の面以外で変更する必要性がだいぶ低くなってます。もし次に変わるとすれば中身的に現行の DWG とは別物の形になると思います。

  • AutoCAD の思い切った価格戦略で互換CAD は死ななかったけど今年は?
    = 互換CADにダメージがあったことは間違いないですが、とはいえランニングコストで見たら差は歴然なのと、経済の冷え込みが後押しして移行の流れが止まるような状況にはなってないので、より死ににくくなってますね。まぁあと AutoCAD の計画的値上げがまだ終わってないのでもう1段上がりますし、互換CADが死ぬことはないでしょう。

  • Architectural や Civil 3D、Mechanical などソリューションの移行先は出てくるか?
    = BricsCAD で Civil3D や Mechanical オブジェクトなどのツールセット系データの対応が予想外に早く広範囲でサポートされてきているため、相互交換は無理でも一方通行なデータ取り込みは安心して移行できる環境が形成されつつあり、乗り換えでのデータ流用が楽になってくという流れは早まってます。

  • 互換CADもサブス化してく?
    = IJCAD がライセンス発行の有償対応になったことで実質サブス化して、互換CADで最初からサブスなしで買えるのは BricsCAD だけになってしまったりしてます。引き続きサブス化しない=「死」を意味するので、どこも買い切りライセンスをいつやめようかタイミングを見てる状態でしょう。
     昨年中に既に情報が出ているものもありますが、各社なんらかの形で値上げすると思いますので、買い切りのライセンス買うつもりなら早いほうがいいと思います。まぁ、買い切りライセンス買っても今回デスクが2014までの認証を止めたように認証タイプの製品は元が切れば無慈悲に終わりますけどね。🤤
 
各社、製品内のグレード等の組み合わせにもよりますが、4年位の最低運用コストで比較するとざっくり以下のような感じになるかと思います。 

高い
AutoCAD Plus
AutoCAD / BricsCAD Ultimate
BricsCAD のソリューション系, IJCAD のソリューション系
BricsCAD PRO, IJCAD PRO, IntelliCAD系上位グレード
| Ares Commander, IJCAD STD
Bricscad Lite, IJCAD LT, IntelliCAD系下位グレード
安い 
 
 BricsCAD はメンテなしの買い切りがかろうじて残ってるので、4年で償却するつもりだと Lite が1.9万円/年、Proが2.8万円/年換算になります。一時期 AutoCAD が1日換算額で広告出てましたが(365日休みなく働けと?って思いましたけど)、それ換算だと80円/日以下になるので激安スーパーの缶ジュースレベルですね。
 
 IJCAD はライセンストラブル起きたら捨てるっていう感覚で導入するならサブス無しでもいけなくはないので、おすすめはしませんがトライしてみても良いかもしれません。😅
 
ということで導入・更新や乗り換えのポジションは去年と大きくは変わらず。
  • CAD に運用資金が潤沢に取れる → AutoCAD Plus、BricsCAD Ultimate
  • CAD で 2D、3D 両方やりたいけど費用は抑えたい → BricsCAD Pro~
  • CAD はほぼ 2D でアドオンを使いたい → BricsCAD Lite~, IJCAD STD~
  • 3D は絶対にやらない。絶対にだ!→ BricsCAD Lite~, IJCAD LT~
  • AutoCAD Architecture から移行したい → BricsCAD BIM
  • AutoCAD Civil3D から移行したい → BricsCAD Pro
  • AutoCAD Mechanical から移行したい → BricsCAD Mechanical、IJCAD Mechanical
  • AutoCAD MEP, ELE, Plant3D から移行したい → なし
  • Autodesk系ではない 3D CAD とも連携したい
    AutoCAD Plus, BriscCAD PRO + Comunicator
  • マゾっ気たっぷりで玄人志向(苦行で来世を楽にしたい by ヒンドゥー教な方)
    FreeCAD、IntelliCAD
といった感じかなと思います。
IntelliCAD は昨年のパフォーマンスアップで苦行ってほどではなくなってきてるかもしれません。
 
 去年は入れていたロシア企業の nanoCAD はやはり影響大きいのか企業の所在地を隠しちゃいましたが、反戦の意味も込めて外しました。若干ながら支援し続けていたりいしますが、ウクライナの人々が早く日常を取り戻せることを切に願っております。

 拙作の AutoCAD, BricsCAD, IJCAD 対応アドオン GizmoTools は、昨年に BricsCAD 向けにLISP性能を活かすための(内部的に大きめの)更新をしました。基本はメンテナンスで継続中ですが、LISP で 3D もかなり行けそうっていう感触を掴んだので BricsCAD 向けの色が濃くなるかもしれません。

ということで、本年もよろしくお願いします。🙇‍♂

元ネタ記事:なし


2023-01-01

2DCG AutoCAD Bricscad IJCAD IntelliCAD

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DWG系 CAD チョットワカル。 CAD歴は AutoCAD R13~, IntelliCAD系 4~(BricsCAD含む), AresCAD (PowerCAD時代から),その他 JW_CAD とか国産CAD系諸々。 ブログではCADとCGに関する情報で気になったものをメモ的に取り上げます。 wiki.gz-labs.net / 書籍 / GizmoTools /twitter

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