2020年の DWG 互換 CAD 界隈

2020年、あけましておめでとうございます。

さて、去年一昨年で書いたので今年も 2020 年はこうなるかもっていう予測をしておこうかと思います。
去年を振り返ると、このブログで扱う CADでの話の大きな出来事としては、
  • AutoCAD が完全サブスへ一歩前進させて旧バージョンを切り始め、サポートも4バージョンで固定化した完全なるサブスクリプションサイクル化で方向性が進んだ。
    2010以前は既に切られ、2018以前のバージョンはあと1年とちょっとで使えなくなる。
  • Draftsight(AresCAD系)のフリー版がなくなりサブス化へ。 
くらいで、大きなトピックは少なめかと思います。

AutoCAD の旧バージョンカットは、強制的に新しいバージョンを使うか、互換CAD を検討するかという点で、動かなかった市場に衝撃を与えた感はあります。サブスクリプションサイクルが強制になることで、カスタムして使っていた人たちはバージョンアップ追従を余儀なくされるという2重苦を背負うことになるので、予算化が大変そうっすね。っていう感じです。デスクさん的には、既に(お金にならない)負の遺産になった古いバージョンがなくなることでスッキリするっていうメリットがあるでしょう。

Draftsight の非フリー化+サブス化は、毎年お金払うならこんなん使ってられるかー。
≡ヽ(`▽´)/
っていう感じの人が他の互換 CAD にバタバタっと移行し始めてて、何この特需みたいな状況になってたりするとかしないとかいう状況ですが、まぁ前にも書きましたが予期していたことなので個人的には特に感慨もなにもなく、「ですよねー」っていう感じです。はい。

2019年末時点のバージョンで、日本で発売されている互換 CAD の互換性の度合いを表すと、以下のようになるかと思います。(個人の見解です。)
項目としては去年を踏襲しますが、今年は AutoCAD 2020 を☆10とした形で評価しています。


AutoCADとの互換性(10段階)IJCADBricsCADIntelliCAD系AresCAD系
UI・UX★★★★★★★★★★★★★★☆☆☆☆★★★★★☆☆☆★★★★☆☆☆☆☆☆
操作感★★★★★★★★☆☆★★★★★☆☆☆☆☆★★★★★☆☆☆☆★★★★★☆☆☆☆☆
2D機能★★★★★★★★★★★★★★★★★☆☆★★★★★☆☆☆☆★★★★★☆☆☆☆
3D機能★★★★☆☆☆☆☆☆★★★★★☆☆☆★★★★★☆☆☆☆☆★★★★☆☆☆☆☆
開発(API)★★★★★★★★☆☆★★★★★★★★☆☆★★★★★☆☆☆☆★★★★★☆☆☆☆☆





AutoCAD との移行・併用難易度
(★が多いほど簡単)
★★★★★★★★☆☆★★★★☆☆☆☆☆★★★★★☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆




開発の方向性汎用とメカニカルはAutoCAD追従路線。
その他のソリューションは独自路線。
すべて独自路線汎用は AutoCAD追従路線が多い。
その他のソリューションは独自路線が多い。
すべて独自路線。

  • IntelliCAD系に含まれるもの:ZWCAD、CMS IntelliCAD、ProgeCAD
  • AresCAD系に含まれるもの:AresCAD、Draftsight、CorelCAD


というところでしょうか。良し悪しは(触ってる機能の傾向など)人によるところもあるかと思いますが、CADを操作する人の心理的・時間的な移行コストが低いのは IJCAD になるかとおもいます。

で、今年はどうなる?

AutoCAD 2020 で DWG の形式は変わりませんでしたが、今年また3月に出るであろう 2021 で 2021形式のDWGフォーマットが出てくるか。といった点に注目です。
(個人的には多分変わらないだろうと予想します。)
AutoCAD からの移行需要が一通り落ち着いたら他の互換CAD もサブス化する方向でシフトするかと思いますが 2020年はまだ本格化しないと思います。

今年も去年と同様に製品ごとに細かな改善点などはあるにせよこの順序が大きく変わることはないだろうと考えています。BricsCAD 買収の影響も特筆するような方針転換も開発スピードの変化もなかったですし。

DWG・DXF データの互換性については、BricsCAD や IJCAD、IntelliCAD系は、レアケースに対してどこまで対処出来ているかと行ったレベルになっているので、普通に描かれているデータで破滅的な状況になるというのは無いと思います。
AutoCAD Architectural や Mechanical、Civil 3D などのソリューション毎のカスタムオブジェクト系のデータの対応も徐々に進んできていますが、ソリューション系 AutoCAD のデータごと移行するのが難儀する点はまだ変わっていません。

導入・維持コストの経済的な面では、各社製品内のグレード等の組み合わせにもよりますが、一般的な価格で比較するとざっくり以下のような感じになるかと思います。

高い ← AutoCAD > BricsCAD ≒ AresCAD > AutoCAD LT > IJCAD ≒ IntelliCAD系 →安い
ということで導入・更新や乗り換えのポジションは去年とあまり変わっていませんが、
  • CAD や PC にかける運用資金が潤沢に取れるなら AutoCAD
  • CAD や PC にかける運用資金を AutoCAD を運用するより減らしたいけど、使い物にならなきゃ意味がないという場合は IJCAD か BricsCAD 。
  • 貧乏な個人で CAD は印刷+α 位でしか使わないというところは AresCAD系
  • 本当に貧乏な個人&企業で CAD は印刷+α 位でしか使わないというところは IJCAD系
  • 人と違う事に価値を見言い出す人は IntelliCAD系
といった感じかなと思います。

ほぼすべての業種で 設計の流れ込みで 3D を基本とした方向に進んでいっているので、(2Dも無くなることはないですが、)これからの10年、2020年代で 2D → 3D へのシフト&一般化が定着していくのかなと感じるところで、20年前になんとなく思っていた状況に仕事を引退する時期までには間に合いそうだなと未来に思いを馳せつつ、本年もよろしくお願いします。

あ、あと、AutoCAD から IJCAD、BricsCAD などの互換 CAD へ移行するのをお手伝いする仕事があったら30万円~ でご相談受け付けています。


元ネタ記事:なし

2020-01-03

AresCAD AutoCAD Bricscad CorelCAD IJCAD IntelliCAD ZWCAD

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DWG系 CAD チョットワカル。 CAD歴は AutoCAD R13~, IntelliCAD系 4~(BricsCAD含む), AresCAD (PowerCAD時代から),その他 JW_CAD とか国産CAD系諸々。 ブログではCADとCGに関する情報で気になったものをメモ的に取り上げます。 wiki.gz-labs.net / 書籍 / GizmoTools /twitter

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